韓国語で本を読む

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韓国小説や韓国語学習書籍を紹介するブログです。

「副作用あります!?人生おたすけ処方本」(三宅香帆)「できない」って簡単に言えない男の子たち。いつもありがとう。

引き続き、三宅香帆さん「副作用あります!?人生おたすけ処方本」の感想です。

 

 

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handoku.hatenadiary.com

 

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先日、思いつきで主人と富山まで日帰りドライブに行きました。

 

大阪から富山まで、高速を使っても往復10時間ほどかかったのですが、事件は帰りの高速で起こりました。

 

高速に乗る前、道を1本間違えたせいで、行きとは違う岐阜を通るルートに変更したんです。

 

11月末。天気予報では「今日から本格的な冬の気温で、各所で初雪が見られました」と言われていた日でした。

 

大阪生まれ大阪育ちの私たちは、岐阜の山の寒さをまったく考えていなかったのです。

 

「うわー、マイナス3度やって! これそろそろ道凍るんちゃう?」なんて呑気に話してていたところ、トンネルを抜けるなりまさかの大雪。しかも夜。

 

もう前が見えないくらいの雪。

もちろんスタッドレスなんて履き替えてません。

 

ビビりまくった私は、一番近くのサービスエリアに入って対策を練るべき、と言ったのですが、ハンドルを握る主人は、もっとひどくなる前に突っ切るべきだと言い、サービスエリアを素通りすることに。

 

すると、前を走っていた車がそのサービスエリアに入ってしまい、私たちの車が先頭になってしまったんです。

 

先頭で雪をもろに受け、視界ゼロ状態・・・。

私は本気で死を覚悟しましたが、何より怖かったのが「主人も本気で怖がっている」と感じたことでした。

 

なんというか、祖父のお葬式で初めて親が泣く姿を見たときのあの感じというか、「自分を守ってくれる絶対的な存在がぶれる感覚」というんでしょうか。

 

ふだん、心配性な私が怖がっていても呑気に構えている主人が本気でやばそうな声を出している。いつものように「大丈夫」と言わない。

その声を聞いた途端、足元がグラグラと揺れ動く感覚がしました。

 

結局、明らかにビビっている様子の大阪ナンバーの車を見かねて、後ろのトラックが前に出てきてくれ、雪除けになってくれたおかげで、私たちは無事に山を越えて帰還することができました。あのときのトラックの運転手さん、本当にありがとうございます。

 

私たちはそのトラックのことを「アニキ」と呼び、雪が止んだあとも「またいつ雪道になるかも分からない」と言って、かなり長い間アニキの後ろをついて走っていたのでかなり鬱陶しかったと思います。

 

完全に自分たちがアホだった故に経験した恐怖体験だったのですが、「冬の山道ドライブは気をつけよう」とか、そんなこと以上に「ああ、この人と結婚したんやなぁ」と思いました。

 

去年まで他人だった相手のことを、いつの間にか家族と同じように「自分のことを絶対に守ってくれる存在」だと認識していたんです。

 

そんなときに読んだのが、以下の穂村弘さん『現実入門 ほんとにみんなこんなことを?』に対する三宅さんの書評です。

 

 

(略)今のところ私が見た、男の子であることの大変さは、「できるふり」を強要させられることにある。

女の子は、「げっ、できないんやけど、教えてよ!」と言うことが許されやすい。もちろん仕事では「できない」なんて言ってられないとか、私は甘えベタだからそんなこと言えないという御方もいらっしゃるであろーが、しかしそれでも男の子の抑圧に比べればかわいいもんである。

男の子が「できないよ〜」と言うにはそれなりのキャラ確立なりふだんの振る舞いなりの、「できない」なりの努力が求められる。厳しいことであるよ。

 

(中略)

 

だけど冒頭で言った通り、私(女)よりももっと、「むり〜」って言えない男の子たちは、どうやってこの世界を乗り越えていけるのか・・・。

 

(中略)

 

世の男の子たち、いつだって、「できるよ」って言ってくれてありがとう。本でも読んで、現実から気を紛らわしてね。

ほんとうは、男女で力をあわせて「できる」ようになっていければいいんだけどね。こちらもがんばります。

 

 

もうね、目から鱗でした。

 

男女平等なんて言われて、男女はずっと同じステージで成長してきたのに、大学生ぐらいから女子は突然「頼りない男は嫌」なんて、言い出すんですよ。

 

女子は平気で車の運転ができないと口に出せるけれど、男子は女子の前で「俺、運転できへんねん。怖いもん」なんて言えないんです。

 

なんなら、「男は運転できて当たり前」とまで思われている節もある。

 

主人よ、いつも当然のように運転席に座らせてごめんね。富山までの長距離運転ありがとう。

 

思えば、自分は主人に「大丈夫大丈夫」と言って安心させてあげられているんだろうか・・・。

考えてみたけれど、「大丈夫」なんて言った記憶がない・・・。

 

じゃあどんなことなら言えるのか。

料理?掃除洗濯?

大切なことではあるけれど、別になくたってどうとでもなるものやし・・・。

 

「人生の大事なステージにかかわるもの」という意味では、家計管理が一番当てはまるかもしれない。

 

例えば主人が事故や病気をしたとき、転職したくなったときに「貯金これだけあるから大丈夫!」とか「私の収入これくらいあるから大丈夫!」と言ってあげられたらいいなぁと思う。

 

産休に入り、学生時代ぶりに「収入がない」状態になって内心焦っているせいで余計そう思うのかもしれませんが、今日も頑張って運転して仕事に行ってくれる主人のために、「大丈夫」と言ってあげられる人になりたいというのが今の大きな目標です。